ベルナール・ビュフェ（Bernard Buffet, 1928 – 1999年）はパリで生まれたフランスの画家。
ビュッフェは「私は絵を描くことしか知らない」と語るほど、絵画制作に情熱を傾けた洋画家である。
直線的で硬質な黒い線は幾重にも重ねられ、抑圧的な画面は見る側に強烈な印象を与える。
ビュッフェの絵画は第二次世界大戦後の当時、世界中に漂う虚無感や不安感を、人物の不安げな表情や荒涼とした心象風景をもって見事に表現した。
美術界に新しい風を吹き込んだビュッフェは、20世紀における具象絵画の代表的な画家のひとりである。

【画家の生涯と創作スタイル】
少年の頃から早熟の才能を示していたビュッフェは、デッサンが得意であった。
10代のころから展覧会に作品を出展し、19歳で最初の個展を開くなど、早くから芸術的才能を示している。

30歳のころ、モデルをしていたアナベルと結婚。
アナベルとの結婚生活はビュッフェの作品に変化をもたらした。モノトーン調の色調から、多彩な色を用いた明るいトーンの作品も⾒られるよになり、表現の幅をさらに広げた。
また、妻の神秘的な容姿はビュッフェにインスピレーションをもたらし、オペラ座のための「カルメン」の舞台装置と衣装デザインにもその影響がうかがえる。アナベルは画家の創作活動に大いに貢献した。

抽象絵画がもてはやされた時代、ビュッフェはこう語っている。

「すべての芸術は抽象である。具象絵画は誰にでもわかるものでなければならず、何かをみいだすことが出来なければならない」

ビュッフェは“絵画とは何か”を問い続け、生涯において具象画にこだわり続けたのである。

略歴
1928年　7月10日パリに生まれる
1943年　パリ国立美術学校に入学
17歳でアトリエ作品賞を受賞
1947年　サロン・ドートンヌに出品。同年はじめての個展を開催する
1965年　連作「ニューヨーク」シリーズを制作
1966年　連作「サンフランシスコ」、「サーカス」、「闘牛士」などの石版画シリーズを発表
1971年　レジオン・ドヌール勲章を受章
1973年　静岡県に「ベルナール・ビュッフェ美術館」が開館
1974年　フランス・アカデミー会員となる
1948年　パリで最も権威のある新人賞・批評家賞を受賞
1980年　ベルナール・ビュッフェはじめて日本へ来訪する
1999年　南フランスの自宅にて71歳で逝去