アルベルト・ジャコメッティ（Alberto Giacometti、1901～1966年）は、スイスの彫刻家。画家、版画家。

スイス、グラウビュンデン州にあるボルゴノーヴォで生まれる。
父親のジョヴァンニ・ジャコメッティはスイス印象派の画家であった。
はじめて彫刻を制作したのは13歳のときである。ジュネーヴ工芸学校のサルキソフのもとで彫刻を学び、21歳のときアカデミー・ドゥ・ラ・グランド・ショミエールでロダンの弟子ブールデルに師事する。

1922年パリに転居すると写実的な彫刻から、キュビスム、シュルレアリスム、原始彫刻などの影響を受けた作品へと転向。画家のピカソ、エルンスト、ミロたちや、シュルレアリスム運動の主唱者アンドレ・ブルトンらと交友を深め、シュルレアリスムの絵画を立体に移したような彫刻を制作する。

34歳の頃、再びモデルを写生する基本的な造形をはじめる。弟のディエゴ、妻のアネットをモデルとして人間像を模索するが、近づけようとするほどに彫刻は小さくなり10cmにも満たなくなったのだ。
1950年頃から制作された人物像は、ジャコメッティの最も有名な彫刻となる。
肉付けはなく凹凸も限りなく少ない。彫刻の限界と思えるほど非常に背が高く細い人形である。
国際的に高く評価されたジャコメッティは、1962年ヴェネツィア・ビエンナーレでは彼のために1室が与えられた。

晩年には絵画、版画など平面芸術への回帰もみられ、彫刻と同様に具象的な絵画も制作されるようになった。
晩年の代表作版画集『終わりなきパリ』は1958年から1965年にかけて制作した石版画150点を収録している。